難聴・耳鳴の診察

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難聴・耳鳴の診断

難聴に関する検査は、まず難聴があるかどうか、難聴があるのなら片側か両側か、その程度はどうか、手術によって治せる難聴かどうか、補聴器や人工内耳の必要性があるかどうかの評価を行います。
耳鳴については、耳鳴の高さや大きさを検査します。
その結果、外耳、中耳、内耳、聴神経、中枢(頭の中)のどこに障害があるのか、難聴の程度(軽度、中等度、高度、聾)、耳鳴の苦痛度、どのような病気かを診断し、対策を検討いたします。
以下のような代表的な検査が可能です。

難聴・耳鳴の診断

純音聴力検査

特徴的な高さの音がどの程度の大きさで聞こえるかを判定します。
中耳の障害による難聴か内耳や聴神経の障害による難聴かを区別する基本的な聴力検査です。
また耳鳴の高さや大きさを評価します。
約15分の時間を要します。

純音聴力検査

語音聴力検査

「あ」とか「か」などのことばの聞き取りの検査です。
やはり約15分の時間を要します。
補聴器の適用を決める際必要な検査です。

語音聴力検査

耳音響放射検査や内耳機能検査

内耳の障害による難聴、特に耳音響放射検査では、外有毛細胞の障害が評価されます。
新生児の聴覚スクリーニングにも利用されています。

耳音響放射検査や内耳機能検査

ティンパノメトリー、耳小骨筋反射検査や耳管機能検査

これらの検査では中耳の障害による難聴が評価されます。
また耳閉感や自声強聴などの耳管の機能を評価します。

ティンパノメトリー、耳小骨筋反射検査や耳管機能検査

ことばの聞き取り検査

自由音場でのことばの聞き取り検査です。
補聴器の調整や効果が評価されます。
約20分の時間を要します。

ことばの聞き取り検査
スピーカーから語音を出して
補聴器の効果を判定します

難聴や耳鳴の治療

代表的な難聴や耳鳴の診断と治療

難聴、耳鳴や耳閉感を訴えて来院された方は、外耳、中耳(鼓膜、中耳腔、耳小骨、耳管)、蝸牛、蝸牛神経から大脳(聴覚中枢)までのどこかに異常があります。その障害部位と障害程度を、問診、視診(外耳道や鼓膜)、聴力検査(純音、語音など)、画像検査(CT や MR)を組み合わせて診断します。近年、高齢者では難聴と認知症との関係が指摘され、早期に難聴への対応が大切です。

小児の急性中耳炎・滲出性中耳炎

小児の繰り返す急性中耳炎(耳の痛みや耳漏、発熱や不機嫌などの症状)や滲出性中耳炎(痛みや熱はありませんが、呼んでも返事をしないなど難聴があります)では、薬物治療だけでなく、鼓膜切開や鼓膜チューブ挿入が必要なことがあります。鼻水が1週間ほど続いている、耳をよく触っている、夜何度も目を覚まし機嫌が悪い、熱が下がらないなどの症状で来院された子供さんに、鼓膜が白く膨隆したひどい急性中耳炎を起こしていることがあります。鼓膜切開で排膿すると翌日には症状が改善します。また、急性中耳炎を起こした細菌が培養検査でわかり、有効な抗生物質を選択できます。3歳以下の小児で繰り返す急性中耳炎のために、当院で鼓膜にチューブを挿入した人は約70人で、ほとんどが両耳です。

成人の滲出性中耳炎・耳管開放症

成人の滲出性中耳炎は耳閉感や難聴、耳管開放症は耳閉感や自声強聴の訴えで来院されます。ティンパノメトリィ(鼓膜の動きや中耳腔に液体が貯留しているかがわかります)や耳管機能検査で診断します。多くの方は、保存的な治療(通気、鼓膜穿刺、生食の点鼻など)で改善しますが、手術的な方法が必要なことがあります。当院での鼓膜チューブ挿入は約300耳に行われています。

水泡があり液体が貯留

鼓膜の向こうに水泡があり液体が貯留

鼓膜チューブ挿入後

鼓膜チューブ挿入後

慢性中耳炎・真珠腫性中耳炎

慢性中耳炎(鼓膜に穿孔があり、時々耳漏があります)は保存的な治療で改善がない場合、手術による治療をお勧めしています。真珠腫性中耳炎(真珠のような白い固まりが骨を破壊し、難聴、めまい、顔面神経麻痺やひどくなると髄膜炎を起こすことがあります)は、手術が必要となります。手術が必要な場合、適切な病院を紹介いたします。

難聴と補聴器

両耳の中等度以上の難聴に対して、希望をお聞きし補聴器の装用を行ないます。聴力検査(音とことば)により、まずどちらの耳に補聴器をするかを決め、毎週火曜日の午後の補聴器外来でその人の聴力にあわせて補聴器を調節し貸し出します。一般的に、その補聴器に脳が慣れてくるまで 2か月を要します。両耳に高度の難聴がある、語音の聞き取りがかなり悪い場合は、身体障害者手帳の申請を行っています。現在まで、当院で補聴器を調節した方は約700人になっています。両側にきわめて高度の難聴が生じた場合、人工内耳の適応になることがあり、長崎大学耳鼻咽喉科に紹介いたします。

耳鳴

多くの方が耳鳴で悩んでいます。日中周囲に音がしているときは気にならないが、夜静かになると気になってきます。多くの人は難聴があり、聴力検査と耳鳴の高さと大きさを推定する検査をおこないます。まず夜寝るときにラジオや携帯から環境音を流す音響療法を勧めています。治療として、5%炭酸ガス吸入(内耳の血流改善を目的としています)によって耳鳴の軽減が期待されます、しかし改善がない場合TRT療法(耳鳴に対して脳を慣らしてく治療)と難聴を伴う場合補聴器の装用も考慮します。

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