めまいの診察

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めまいの検査

めまいには、耳からおこるめまい(内耳の障害)と頭の中からおこるめまい(脳幹や小脳の障害)があります。
耳からおこるめまいは多く、生命の危険はありませんが、めまい発作を繰り返したり日常生活が制限されます。
頭の中からおこるめまいは、生命とも関わることがあり診断は重要です。
めまいの診断や治療は、まず耳からおこるめまいか頭の中からおこるめまいかを検査し、
さらにどのような病気かを診断する、その後めまいの病気にあわせた治療を行っていきます。
めまいの診断のために、当院では以下のような検査を行います。

めまいの検査

重心動揺検査による体平衛の検査

立位で、開眼と閉眼での体の揺れを解析します。(2~3分の検査時間です)

重心動揺検査による体平衛の検査

赤外線カメラシステムによるめまいの観察

めまいが起っている時には眼が回っている(眼振)のがしばしば観察されます。赤外線カメラをつけた眼鏡をつけると小さい眼振まで観察できます。また実際のめまい(眼振や異常眼球運動)を直接動画に記録できます。
記録された動画はコンピューターで解析し、眼振の方向や速度などを定量化します。

赤外線カメラシステムによるめまいの観察

回転検査による内耳(半規管)の機能検査

~半規管は回転運動を感じるところです~
体の回転運動と眼の動きの両者をコンピュータで解析します。(検査時間は2~3分です)
ゆっくりした頭部回転検査と急速な頭部回転検査(vHIT)があります。
また時には耳(外耳道)の中に氷水を入れて、眼の動きを解析いたします。

回転検査による内耳(半規管)の機能検査

自覚的垂直位検査による内耳(耳石器)の機能検査

~耳石器は直線運動や重力を感じるところです~
暗闇の中で棒をまっすぐ立てていただき、本当の垂直からどのくらいズレているかを測定します。
 (2~3分の検査時間です)

自覚的垂直位検査による内耳(耳石器)の機能検査

眼球運動検査による頭(脳幹や小脳)の機能検査

ゆっくり動く視標や速く動く視標を見つめてもらい、めまいに関係した脳幹や小脳の障害の有無を検査します。

眼球運動検査による頭(脳幹や小脳)の機能検査

代表的なめまい疾患と治療

代表的なめまい疾患の分類

めまい疾患の分類

耳からおこるめまいの特徴と治療

メニエール病

メニエール病は、ストレスや不眠などが誘因となり、内リンパ水腫(内耳の水ぶくれ)が生じ、回転性のめまいやフラツキ、難聴、耳閉感、耳鳴、音響過敏を繰り返す病気です。最初は、ストレスや不眠を軽減し、有酸素運動や薬物療法(主に浸透圧性利尿剤)を行います。改善が得られない場合、中耳加圧療法(中耳加圧装置を貸し出し、自宅で行う治療)を行います。このような保存的な治療で効果がない場合、手術的な治療を考慮します。

良性発作性頭位めまい症

良性発作性頭位めまい症は、めまい疾患の約 40%を占めるとても多い病気です。内耳の中で、卵形嚢(重力を感じている器官)から外れた耳石が半規管(回転を感じる器官)に入ることによって、寝起きや寝返りで回転性めまいやフラツキを起こします。いつも同じ睡眠頭位(右耳下か左耳下)で寝ている人に多く、近年ではビタミンD不足などが誘因として注目されています。診断は、頭を動かした時の眼振(眼の振れ)を観察することによって、どの半規管(後、外側、前と3つ半規管があります)のどの部位に耳石が入っているかがわかります。自然治癒が期待できますが、治療は耳石を半規管から卵形嚢に戻す耳石置換法によって早期に直すことができます。一番多い後半規管型良性発作性頭位めまい症にはエプリー法、外側半規管型良性発作性頭位めまい症には健側下135度法や患側下135度法などの耳石置換法を行います。当院での、これらの耳石置換法による翌日の改善は約80%から90%です。
良性発作性頭位めまい症について、もっと詳しく知りたい方は、添付資料(一番多いめまい、良性発作性頭位めまい症について)をご覧下さい。

耳石置換法
耳石置換法を行っています

前庭神経炎

前庭神経炎は、ウイルスによる神経(前庭神経というバランスに関わる神経)の障害が原因と推測されています。強い回転性めまいや嘔気が数日続くため、入院安静が必要なことがあります。耳に温水や冷水を入れる温度刺激検査によって診断しますが、近年は速い頭部回転検査でも推測が可能です。治療は、なるべく早くリハビリ(前庭リハビリといわれています)を開始します。

めまいを伴う突発性難聴

めまいを伴う突発性難聴は、ウイルスあるいは内耳の血管障害が原因と考えられています。難聴には早期からステロイドを投与また 5%炭酸ガス吸入(95%は酸素で、炭酸ガスの血管拡張作用による内耳の循環改善を目的にしています)を行います。めまいには前庭神経炎や良性発作性頭位めまい症に対する治療と同様の治療が行われます。

頭からおこるめまいの診断

急性期のめまい発作の多くは耳から起こるめまいが多いのですが、中には脳出血や脳梗塞、また聴神経腫瘍のような腫瘍性病変が隠れていることがあります。めまいに嘔気や嘔吐を伴うことは、耳からあるいは頭からのめまいの両者に起こります。しかし、めまいに手足のしびれ、口唇のしびれ、舌のもつれ、意識がなくなる、強い頭痛、視力低下、複視(物 が 2 つに見えること)、物が飲み込みにくいなどが伴っていれば、頭から起こっためまいの可能性があります。このような症状があれば、すぐに画像検査(頭部 MR など)が必要です。 マレですが、これらの頭の症状がなくても、前に紹介しましたいくつかのめまい検査で異常があれば、頭からのめまいを疑い画像検査行います。また、これも稀ですが、原因がわからない1側の神経性難聴があれば聴神経腫瘍を疑い頭部MR検査を行います。これらの頭から起こるめまいと診断されたときは、速やかに専門病院に紹介いたします。

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